11月25日撮影
トウフツ湖より
雪が降りました。白く彩られた小道には足跡ひとつ見えません。
白いキャンバスに横縞の模様が描かれています。そうカラマツの木の影が映っているのです。鳥の鳴き声も風の音も聞えません。
静寂そのものの杜は冬眠の季節を迎えました。見上げる空には季節風に乗り流れる雲が足早に過ぎてゆきます。未踏のキャンバスに踏み入ると、私の足跡だけが残りました。冬を迎えたオホーツク公園、今静かに眠りにつきます。
吐く息が早朝の輝きのなかで白く映ります。霜枯れの草むらに宿る水滴がきらりと光る、まるで宝石のように。ロッジの前のナナカマドは葉を落とし、赤い実が吹く風に揺らいでいる。
夏には賑わいを見せたテントの杜も、今は静かなときを迎えていた。頭上から鳥の鳴き声が聞える。見上げると朝焼け雲の空を白鳥の群れが飛んでゆく。その優雅な編隊飛行に思わず見とれた。
ロッジの表面が太陽の光を浴びて輝き、陽の当らぬ側面との陰影が建物を際だたせる。私は写真を撮ると、霜がとけ濡れた枯れ草を踏みしめ帰路についた。